サンバスタンド
十和田市にあるコワーキングスペースのプロジェクトです。
空き家となっていたガソリンスタンドの建物をリノベーションして、人と人が繋がる縁側のような場所をコンセプトに計画を進めました。
施設には大きく3つのエリアを計画しました。
1.カフェを併用したコワーキングスペース、2.各種イベントや映画鑑賞、卓球教室などのイベント利用を想定したスマッシュルーム、3.オンラインミーティングやクラフト教室、家庭教師や小規模な女子会やボードゲームの場などを想定したレンタルオフィスになります。
カフェを併設したコワーキングスペースでは、長時間の仕事や何度も足を運んでくれるリピーターでも十分に楽しめるよう計画しています。大きなテーブルをみんなで囲めるスペース、ベンチやカウンター席のある小上りスペース、ローテーブルに合わせたソファースペース、ローパーティションと低い天井に囲まれた個人ブーススペースなど、ワンルームの中に床や天井のレベルを変化させた多様な空間を設け、気分に応じて席を選ぶことが可能です。
異なる雰囲気の小さなスペースをワンルームの中に散りばめることで、空間に奥行きを持たせています。別々のことをしていると同時に皆の空気を感じることができ、同じ空間にいる時間を共有できればと考えています。施設に入って正面の垂壁には青森ヒバを全面に貼ることで、バラバラなスペースをまとめる統一感も持たせています。製作家具のデザインから椅子の選定まで関わることで、各スペースに応じた雰囲気のメリハリをより効果的に計画しました。
スマッシュルームではプロに教えてもらえる卓球教室の活用を念頭に、ボールの見やすいライトグレーの仕上げとしています。外部へと繋がる出入口は大きく開くことのできる木製の引き戸を用いることで、イベント利用時には街に開かれた場所となります。他にもプロジェクターを通して映像を楽しんだり、講演会などを行うなど、ゆとりのある天井高を活かした運営も可能となっています。
2階のレンタルオフィスは間仕切り壁に遮音材を充填し、音問題にも配慮しています。廊下に面してはガラスの木製パーティションを設けました。ここでも壁の一部に青森ヒバを活用することで木の温かみを感じ、自然光が入る明るい空間となっています。2~10人まで、サイズの異なる5つの個室を設けることで多様な需要に対応できるよう計画しています。
外観は既存のガソリンスタンドの状態を活かしつつ、サックスブルーに塗りなおすことで爽やかな印象の施設としています。
施設全体を通して特徴の異なる小さなスペースを沢山作ることで、様々な目的を持つ方が集まることができます。オーナーの提供するフードやイベントを通して、普段交わらないような人々が同じ空間に集まり、新たな交流の場として地域に根付くことを期待しています。
Data
- 所在地
- 青森県十和田市
- 主要用途
- 店舗・貸事務所
- 敷地面積
- 547.80㎡
- 延床面積
- 292.40㎡
- 階数
- 地上2階
- 構造
- 鉄骨造
- 設計期間
- 2021.11-2022.03
- 施工期間
- 2022.04-2022.06
- 竣工
- 2022年06月
Credit
- 施工
- 株式会社福萬組
高渕電工株式会社
中沢水道設備工業株式会社
- 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子
Awards
- 第16回あおもり産木材活用建築コンテスト 非住宅部門 審査員特別賞