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領域を離し、二世帯を繋ぐ円弧
30代の夫婦から、夫の父親と一緒に暮らす二世帯住宅の設計を依頼されました。
この土地にある既存住宅にて一緒に暮らしていますが、新居では音問題への対策として親世帯と子世帯の居住域をなるべく離し、お互いの生活を尊重した暮らしを希望しています。
敷地の北側と東側は自分の土地である畑に面しています。この北と東の畑に面した建物配置とすることで近隣との距離を確保しつつ、各世帯の個室がなるべく離れるように、建物はカーブしたL形の配置としました。それぞれの端部から各世帯の個室ボリュームが市松状に伸びてきて、重なるところに共用で利用する風呂や洗面・便所などの水廻りを設けています。
カーブする形状により、一目では見通せない円弧の先にもう一世帯の生活があり、離れていることと繋がっていることが同時に成立しています。 夫婦に子供ができ、子供が巣立ち、伴侶を連れて戻り、父親が他界する。今の子世帯が親世帯となるなど、この住宅を巡る家族や世帯の編成は普遍的ではありません。
この住宅に集まる家族や世帯が変化しても、一つ屋根の下で緩やかに離れ繋がれることで、時代の変化を乗り越えて成立する、この家族を結ぶ暮らしのあり方について考えました。
Data
- 所在地
- 青森県六戸町
- 主要用途
- 住宅
- 敷地面積
- 1,077.95㎡
- 建築面積
- 188.14㎡
- 延床面積
- 150.52㎡
- 階数
- 地上1階
- 構造
- 木造
- 設計期間
- 2016.12-2017.09
- 竣工
- UNBUILT
Credit
- 構造設計
- 荒木美香構造設計事務所
- 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子