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家具5/6の家
プロジェクトはマンションの一室を改修するものです。この家は、「水廻りの部屋」と「家具の部屋」の2部屋にて構成しています。
施主の要望は「プライバシーを確保しつつ、一室を広々と使えるワンルーム」という矛盾を含んだものでした。部屋に閉じこもって、家族が何をしているか分からない状況ではなく、個人が思い思いに過ごすことができ、家族としてのコミュニケーションも取りやすい、そんな生活の仕方です。
トイレやお風呂などの水廻りはプライバシーのレベルが高く、空間と機能の関係が1:1になってしまうので、壁で囲い一室の1/6のスペースにまとめました。
残りの5/6のスペースは、食事、睡眠、団欒、仕事、勉強など、個人から家族の活動まで様々なレベルの生活が内包されています。通常であれば、建築としての壁を建て機能に合わせて空間を仕切りますが、今回は個室も大きな収納として捉え、家具化することで5/6のスペースを大きなワンルームにする試みです。
家具は建築ほどの強度を持っていませんが、様々なアクティビティを誘発し居場所の違いを創ります。また、壁ではなく天井や梁に届かない家具で仕切ったことにより空間(天井)が一繋がりになり、どの場所にいても家族が同じ天井を共有できます。この家具により構成されている一つ天井の下のワンルームは、風が抜け気持ち良い場所で、個人・家族としての境界を選択できる開かれた場所となります。
Data
- 所在地
- 東京都足立区
- 主要用途
- 住宅
- 延床面積
- 61.60㎡
- 階数
- 1フロア
- 構造
- 鉄筋コンクリート造
- 設計期間
- 2015.12-2016.09
- 竣工
- UNBUILT
Credit
- 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子