Scroll
川越せんべい店 カウンター正面
029

川越せんべい店

明治6年に創業した日本最古の南部せんべい店の一部を改修するプロジェクトです。
今までは焼き場の一角でせんべいの販売をしていましたが、コロナによる感染対策を兼ね衛生管理の点から、焼き場と販売スペースを仕切ることになりました。
さらに、この焼き場には南部最大級の石窯があります。一枚一枚を手焼きで焼いている姿を来店者が見れる見学・インフォメーションコーナーも併設する計画です。
川越せんべい店のせんべいは、全て国産の材料で構成され、手ごねで石窯手焼きの手作り製法です。そんなせんべい作りに倣い、建築的にもなるべく既製品を使わず、地元でとれる素材を使って職人の手で作り上げるものを目指しました。
壁や天井の仕上げは、青森県産材の杉板を使いました。床は手ごねで作るせんべいのイメージから、セメントと水を練ってつくるベージュのモルタルを計画しました。(床の仕上げは次期工事となり現状は塩ビシートになっています)
内装の色を統一することで、種類によって個性豊かに包装されたせんべいがひときわ目立つことを意識しています。
今回の計画範囲はわずか3.5坪のため、小さなスペースを単純に仕切ってしまうと圧迫感があります。見学・インフォメーションコーナーは、焼き場との繋がりを持つことで、空間の広がりを確保する役割も担っています。
新たに設けた間仕切り壁の長さや建具、開口部の幅を、仕上げで用いている杉板の幅に揃えることで、各要素を一体的にデザインしました。開口部は、仕上げの杉板をそのまま枠として納めています。シンプルな納まりとすることで焼き場との距離感が近くなり、空間の広がりを感じられればと考えました。
今まではただせんべいを買う場所でしたが、改修を機にお店の滞在時間が伸び、せんべいの焼き方や歴史を学べるキッカケになれれば良いと思います。

Data

所在地
青森県おいらせ町
主要用途
店舗
延床面積
計画範囲:11.92㎡
階数
1フロア
構造
木造
設計期間
2020.07-2020.12
施工期間
2021.01-2021.02
竣工
2021年02月

Credit

施工
有限会社田中建築
写真
WAA Inc.
担当者
渡部良平、横濵久美子
川越せんべい店 エントランス
川越せんべい店 焼き場
川越せんべい店 見学スペース
川越せんべい店 店舗内観
川越せんべい店 窓納まり
川越せんべい店 販売スペース
川越せんべい店 建具納まり

Other Projects

]