あおもりみなみこども園園庭
青森市にある認定こども園「あおもりみなみこども園」の園庭をリニューアルしたランドスケープデザインのプロジェクトです。園庭の隣地を取得し大きなまとまったスペースを確保できたことをキッカケに、園内で行っている裸足保育を園庭にまで拡張する計画がスタートしました。
走る・上る・下るなどの基本的な動きを念頭に、園児が自然と体を動かしたくなり、体力づくりができる園庭を目指し計画しました。行き止まりの無い円状の通路で水場や砂場、山や谷などの場所を結んだ案や、小さな段差を上り下りできるデッキで囲われた案などの検討を経て、最終的には敷地の特徴を生かした長い山と谷を特徴とした全面人工芝の園庭となっています。
素材については、園児が裸足で遊ぶ際にケガのし難さを基準とした安全性や夏の太陽光による表面温度上昇の熱対策、維持管理の容易性などを考慮しながら、様々な種類を検討しました。その中でクッション性や吸水性、芝刈りなどが不要なメンテナンス性を備え、サトウキビを原材料にしているバイオベースの人工芝をメイン素材に選定しました。視覚的にも山や谷が分かりやすくなるように、芝の色味や触感などの違いにより場所に応じて張り替えています。
大きな山は緩勾配で登りやすい角度の場所や多少急勾配で登るのに苦労する場所など、様々な角度を用いることで、園児の体の成長や体力に合わせて遊べるよう工夫をしています。中でも急勾配の場所にはメッシュロープや、ボルダリング、紐ロープなどを設置し、遊びながら登ることもできるようにしています。山の一部にはシンボルツリーでもある敷地中央のケヤキの木を望める土管トンネルを設けています。山のてっぺんからは谷に向かって下りることもでき、温かい季節は段ボールなど、冬はソリを使い滑って遊べます。
園庭内には、ミストシャワーの付いた丸い水場や、抗菌砂の砂場も設けています。敷地中央には高さが15mほどの大きなケヤキの木があり、園の保育の中で取り入れている和太鼓の演奏を木の下で行えるよう、直径10mほどの円状のデッキを設けました。普段は木陰としての休む場ともなり、行事の際には舞台にもなり、山の上から演奏を鑑賞することができます。
実際に運用している様子を見ると、園児が人工芝に寝そべっている様子を頻繁に見ます。他の素材では無しえない人工芝ならではの風景を見て、楽しそうに遊ぶ園児がうらやましくなりました。また、遊具を置いてしまうと決まった遊び方しかできませんが、山や谷などの起伏や走れるスペースを活用した遊びになると、助走の付け方や隠れ方など園児が自ら考え工夫しながら楽しんでいる様子を見ることができ、子供の創造性を育むことにも繋がっていると感じます。
園は子ども食堂の運営など、地域に対する社会活動にも精力的です。休日には園庭を開放し近隣の子供たちが遊べる場の提供も視野に入れているので、地域の中で多くの市民に愛される場に育つことを期待しています。
Data
- 所在地
- 青森県青森市
- 主要用途
- 園庭
- 敷地面積
- 約1,100㎡
- 設計期間
- 2024.11-2025.03
- 施工期間
- 2025.04-2025.07
- 竣工
- 2025年07月
Credit
- 施工
- 株式会社黄金工務店
一般社団法人セライオCNC - 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子