あんず旅館

青森市の浅虫にある築100年ほどの旅館をリフォームしたプロジェクトです。雪深い地域のため、既存建物の天井や外壁周りなど断熱を付加することで保温性能を上げ、基礎周りにはコンクリートを打つことで防水性能を確保しています。内部は既存建物の構造を活かしつつ、１階はラウンジ兼飲食・厨房スペースとして整備しました。夜は宿泊外の方でもふらっと立ち寄り、料理人のオーナーorigoさんの作る料理を楽しめるバーとしても活用できます。２階は宿泊者専用のラウンジと４室の一人用個室、２～４名の和室や洋室を備えています。

１階は宿泊者用のシャワールームなども備えており、宿泊者の階移動の動線を確保しつつ、楕円状のハイカウンターとテーブルやソファ席で食事を楽しめるスペースを設けています。厨房から飲食スペースにかけては、もともと別の部屋だったことによる欄間を撤去し、天井の高い一体感のあるスペースとして見直しています。ワインセラーはペアガラスにより視界を確保しつつ、専用の空調機を設けセラーとしての温度管理もできるよう計画してあります。

２階は階段を上がると、大きな窓から青い森鉄道の見える明るいラウンジが広がります。電車を眺めながらコーヒーや読書を楽しんだり、夕飯の後にお酒を楽しみながら仲間と語らうこともできます。
客室はカプセルホテルのような一人用の個室と既存を活かした和室、断熱を付加した洋室があります。身長制限はありますが、一人用の個室にはもともと押し入れだった部分を活用したドラえもん部屋もあります。

素材の選定や仕上げについては、既存の和の雰囲気を尊重し天井はほとんど既存を活用しています。人が直接触れる床については、断熱材を付加したうえで全てフローリングに張り替えました。壁は漆喰調塗料を用いてしっとりした既存の雰囲気と合わせています。