並木道とテントブース
十和田市現代美術館に来館された方を街なかまで誘導することを目的に、官庁街通りに最大10基のテントブースを設置するプロジェクトです。テントブースには市内在住の作家や農家、飲食関係者や学生と連携し、地域に根差した制作体験や飲食・特産品販売などの機能を持たせ、観光客の十和田市内での滞在時間延長や十和田のまちをより深く知って頂くキッカケに繋げる目的にて運営を予定しています。
テントブースの骨組みは青森県産材の杉の製材を用い、軽いテント生地を掛けることで、地域性と設置や撤収の簡易性を確保しようと考えました。
形態については、官庁街という桜と松の並木道に設置されることを念頭に、強い幾何学よりも自然を意識したデザインとすることで景観にも配慮できないかと考えました。そこで、柔らかいテント生地を活用した3次元の自然なカーブを生み出すよう、左右で高さの異なるフレームをデザインしています。
左右の高さが異なることで、横に並べた際にも独特なリズムと一体感が生まれ、テントブース1基としても、連なった状態としても見ていて楽しいカタチになれればと考えました。
テントブースとブースの間には2.7mほどのタープもかけられるようになっています。飲食スペースや、ワークショップの制作スペースとしての利用も可能です。
官庁街は春の桜や夏の緑、秋の紅葉や冬の雪景色など、一年を通して様々な表情をもっています。そこでテント生地はアースカラーを基調にすることで風景の中に溶け込むとともに、どんな季節でも存在感を出せるようベージュとダークグリーンの2色を選択しました。
複数性や可搬性など、普段の建築の設計とは異なる条件を基に、場所性を加味することでオリジナリティを獲得し、まちの新たな顔になることを期待しています。
Data
- 所在地
- 青森県十和田市
- 主要用途
- 可動テントブース
- 延床面積
- 1基:3.24㎡
- 構造
- 木造
- 設計期間
- 2020.02-2020.03
- 施工期間
- 2020.04-2020.06
- 竣工
- 2020年06月
Credit
- 施工
- 有限会社直町建設
Kumagai Mariko - 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子