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森の風工房新事務所プロジェクト 日常
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森の風工房新事務所プロジェクト

陸奥湾に面する蓬田村に建つ事務所の計画です。クライアントは工務店を経営しており、それまでは自宅兼事務所にて仕事をされていました。しかし、お子さんの成長と共に、自宅での仕事が難しくなり、開業10年の節目を契機に10坪ほどの事務所と倉庫、車庫を建てることとなりました。
クライアントは毎年夏になるとこれまでの施主や工事関係者を招いてバーベキューなどの懇親会を開いています。また、本プロジェクトとは異なりますが、地域の子供たちが冬でも運動ができるように空倉庫を改修して屋内運動場を作る計画があるなど、地域社会や身の回りの方々への貢献に積極的な姿勢で取り組んでいます。
このようなクライアントの振る舞いを地域の大切な文化資源と考え、単なる事務所ではなく、仕事以外でも地域の人々が気軽に集まれ、人と人が繋がっていけるような、地域社会の拠点となれる開かれた場所を計画したいと考えました。
敷地は豪雪地帯となっており、特に冬場は北西方面から厳しい風が吹きます。そこで事務所と倉庫は風を遮るようL型に配置し、囲まれた空間と建物を一体の大きな屋根で繋ぎ、風から守られた半屋外の居場所を計画しました。その場所は、普段は車庫として利用されますが、夏になると車を移動し屋根の下でバーベキューなどを行える、人のためのコモンスペースとなります。
外壁を木材にすることで、人が近づけベンチに腰をかけたり寄りかかれたり、身を預けることができる家具の延長のような親しみを期待しました。
事務所はコモンスペースに開かれており、小さな子供やお年寄りの方などは半屋外のコモンスペースと一体になった室内で過ごすことができ、内外を横断するアクティビティを可能としています。
この半屋外のコモンスペースが建物の中心となり、気楽に建物の周りに仲間が集まり人と人の関係を繋ぐことができる建築となります。このように行政ではなく、個人が提供する共有財産として手の届く範囲の人々に開かれた共空間が、地域に根差した新たなコミュニティを育てる場になっていければと思います。

Data

所在地
青森県蓬田村
主要用途
事務所、倉庫
建築面積
66.25㎡
延床面積
62.93㎡
階数
地上1階
構造
木造
設計期間
2018.02-2018.05
竣工
UNBUILT

Credit

写真
WAA Inc.
担当者
渡部良平、横濵久美子
森の風工房新事務所プロジェクト 仕事
森の風工房新事務所プロジェクト バーベキュー
森の風工房新事務所プロジェクト イベント
森の風工房新事務所プロジェクト 外観
森の風工房新事務所プロジェクト 屋根下

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