屋外競技場プロジェクト
日本国内にて計画した屋外競技場のプロジェクトです。
屋外で行う競技になるため、日差しの眩しさなどが競技の勝敗に影響を及ぼす可能性があります。競技の妨げにならない自然光は取り入れ明るい空間としつつ、競技に支障が出る西日などの光を遮る屋根のあり方について模索しました。
屋根の形状を検討するに当たり、上記の日差しへの配慮と共に、公園の中に位置する競技場であることから周辺環境を取り込むような形態、都道府県などの地域性を反映した形態、競技の伝統を活かした形態などの検討を重ねました。
最終的には、①徐々に高さを変える軒先の自然なカーブが周辺環境を取り込む渦巻案、②地域を代表する食べ物の剥いた皮の様な特徴的なルーバーで建物を包む案、③日本の伝統的な和傘をイメージした折れ屋根案、の3つが最終候補になり、クライアントの意向により和傘をイメージした案となりました。
南の屋根は高く、東西に向かって低くなるよう、太陽高度の移り変わりに合わせて軒先の高さを変化させる屋根形状にすることで西日対策にも寄与しています。雨・風・日差しを遮ってくれる傘のように競技する環境を優しく守る屋根のデザインです。
建物のボリュームは10本の柱と20の面からなる小さな屋根の集合となり、大屋根が公園の自然の中でもオーバースケールにならず、馴染むように配慮しています。計画建物の東西には立派な樹木があります。朝日や西日を遮蔽してくれる効果も期待しつつ、自然を壊さない環境に配慮した建築とするため、樹木を残した施工計画についても検討しました。
構造的には円周方向の梁にジグザクの勾配を設けることにより曲げモーメントの負担を減らし、全体としても中央を高くし、放射状に登り梁を均等に配置することでシェル効果を得て、梁せいを縮めて鉄骨量を減らすことにも寄与しています。
Data
- 所在地
- 日本
- 主要用途
- 屋外観覧場
- 敷地面積
- 26,501.33㎡
- 建築面積
- 2,942.11㎡
- 延床面積
- 2,864.42㎡
- 階数
- 地上1階
- 構造
- 鉄骨造
- 設計期間
- 2022.05-2022.11
- 竣工
- UNBUILT
Credit
- 設計協力
- 渡邉啓太
- 構造設計
- 荒木美香構造設計事務所
- 照明計画
- 麻田勝正/GLD
- 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子