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八戸市美術館 基本設計 プロポーザル
アートを展示する建物自体にも市民が愛着を持てる美術館の提案。
美術館の多くは他所から観光客を呼び込むための窓口として機能し、その美術館が立地する市民にとっては、必ずしも利用しやすい施設とならないケースがあるように感じます。そのような美術館は市民にとって閉鎖的な領域となり、まちの真ん中にポッカリと穴の開いた空白地帯を創り出してしまいます。
市民も積極的に利用できる開かれた美術館になるために、参加しやすいプログラムや街中にある他の文化施設との連携というソフト面の強化はもとより、建物としても市民が愛着を持ち、誇れるようなあり方は無いかと考えました。
そこで八戸市を中心とする青森県の南部地域の伝統である「菱刺し」をモチーフに、各プログラムに応じたヴォリュームを構成しました。様々な型の集合によって構成される菱刺しのように、市民ギャラリーやライブラリー、展示室からスタッフルームなどアートにまつわるプログラムが個々にも機能でき、お互いの存在があるから一つの美術館になれる、そんなまちのような関係を持った美術館を創れればと考えました。アートに興味がない市民でも、菱刺しをモチーフとすることで「あの建物は、八戸の伝統文化である~」と自ら説明でき、あれは自分たちの美術館だと思えるキッカケにもなります。
地域の伝統と融合することで、この場所にしかない美術館のあり方の提案です。
Data
- 所在地
- 青森県八戸市
- 主要用途
- 美術館
- 敷地面積
- 6,700㎡
- 延床面積
- 4,500㎡
- 階数
- 地下1階、地上3階
- 構造
- 鉄骨造
- 設計期間
- 2016.11-2017.01
- 竣工
- UNBUILT
Credit
- 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子