ワインバルsecond
十和田市の官庁街にある6畳ほどの小さな飲食店をリフォームしたプロジェクトです。既存の建物は、0次回や〆のお店として利用できる飲食店かつ、コミュニティスペースとして不定期にイベントも開催し、集まった人の交流の場としても利用されていました。今回はワインバルとして、お客さんが料理を楽しむ空間づくりに重きを置くようリニューアルの検討を行いました。
料理の説明などを行う際の料理人とお客さんと距離感や、3~4名で来たお客さんの会話のしやすさ、別のお客さんとの適度な距離感など、どのような空間であれば食事や会話を楽しみながら良い時間を過ごせるか?客席や厨房の構成について複数の案で確認しています。
店舗への入りやすさを確保するため、店舗内の状況が外から見えるように腰上の窓を全面に確保しました。客席を道路側に配置し厨房を奥にまとめる計画とすることで無駄な動線を省略し、小さなスペースの有効活用を図っています。既存の建物はフラットな天井でしたが、道路に面して高くなる天井懐を利用し、高さも活用しながら平面的な小ささを補えるよう、断熱層を確保したうえで天井の高さを屋根ギリギリまで上げています。
客席カウンターはいくつかの検討を繰り返し馬の蹄のようなコの字形状としました。カーブした形状により3~4人での会話もしやすく、対面のお客さんとの程よい距離も確保できる形状です。7~9人程度の貸し切りになった場合でも全員の顔を見て会話ができます。
テーブルの高さを1mほどのハイカウンターとすることで、花火大会や秋祭りなど市を上げたイベントで官庁街が賑わう際には、椅子を無くして軽く立ち寄れるスタンディングバーとしても利用できます。馬蹄の形状は元々軍馬の町として栄えた、十和田の地域との親和性も感じられます。
素材の選定や仕上げの色については、人が交流し一体となるイメージをモチーフに考えました。木(ルーバーやパネル)や左官、不燃パネルなど様々な個性のある素材を用いつつ、各素材の色味をグレー系に揃えることで、内装として調和のとれた統一感をもたせています。
店舗の改修に合わせて、離れにあるトイレもリフォームし、飲食体験の質の向上を見込んでいます。
Data
- 所在地
- 青森県十和田市
- 主要用途
- 店舗
- 敷地面積
- 1172.47㎡
- 建築面積
- 18.75㎡
- 延床面積
- 18.75㎡
- 階数
- 地上1階
- 構造
- 木造
- 設計期間
- 2023.11-2024.05
- 施工期間
- 2024.06-2024.07
- 竣工
- 2024年07月
Credit
- 施工
- 株式会社今泉工務店
株式会社スイッチオン
水尻商会
株式会社柳沢ファニチャー - 写真
- 株式会社WAA
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子