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コミュニティを育む本棚
八戸市にある上田面木こども園に本棚を製作したプロジェクトです。
本棚は園に入ってすぐのホール及び廊下に設置しています。もともと移動空間でしかない場所に本棚を設置することで、園児の新たなアクティビティを誘発する計画です。
今回の本棚の最大の特徴は棚が緩やかにカーブしていることです。
既存の空間は出隅や入隅によって、壁面が凸凹していました。その凸凹を覆うように緩やかにカーブした本棚を設置することで空間を柔らかく包み、園児にとって居心地の良い場にしたいと考えました。本棚にベンチや園児がすっぽり収まる空間を設けることで、自分の好きな場所を見つけて本を読めるように計画しています。家具を用いて空間の質を変化させる試みです。
本棚がカーブすることで絵本との親和性も獲得しています。絵本はこどもの興味を引くため、手のひらサイズのものから、こどもの背丈ほどあるものまで多様な形状があります。しかし通常の本棚は生産効率を優先し一定の奥行きとなっているため、本と本棚の親和性はありません。今回は本棚をカーブさせたことにより本棚と既存の壁との間に多様な奥行きを獲得し、様々なサイズの絵本を収納することが可能となっています。
本棚は天井いっぱいまでの高さとなっているため、大人の目線でも楽しめます。お迎えに来た保護者の方が子供の頃に読んだ絵本を見つけ、ベンチに腰掛けその場で子供に読み聞かせを行うこともできます。この緩やかにカーブした本棚を通して絵本とふれ合う機会が増え、園児と先生・保護者の関係を繋ぐ役割も担ってくれればと思います。
Data
- 所在地
- 青森県八戸市
- 主要用途
- 認定こども園(本棚)
- 延床面積
- 計画範囲:42.25㎡
- 階数
- 1フロア
- 構造
- 木造
- 設計期間
- 2021.03-2021.05
- 施工期間
- 2021.06-2021.07
- 竣工
- 2021年07月
Credit
- 施工
- 中山建具工業株式会社
- 写真
- WAA Inc.
- 担当者
- 渡部良平、横濵久美子